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《ネタバレ》 リンカーンが自分達はクローンだと気付くまでの展開は、かなり引き込まれて見てた。クローンの培養や、その処理など、黒人の奴隷制度やホロコースト、人体実験等を行ってきた人間なら、多分、これくらいするだろうおぞましさであり、実際既に、実験段階くらいのレベルにはなっているんじゃないかという怖さもあった。実際、臓器売買の段階には、踏み込んでいるのだし。だが、それも、リンカーンがジョーダンを連れて逃げるまでだった。そこから先は、「生命とは?」「存在意義とは?」「人は神の領域にどこまで踏み込めるのか?」などとは、考えてはいけない。確かにアクションは派手で過激だから飽きることはないが、今の段階では、ビジュアルで見せるのは、もう限界だろう。「××があれをやったから、あれ以上のものを」となったら、ただひたすら、救い難い過激さに走るしかないだろう。しかもそれが、映画自体の持つテーマのフォローになっていないのだから、なおさら救い難く、まして、アクションに食われて、ドラマ性はひたすら希薄になっていく。そもそも、フンスーの傭兵隊長ってば、殺していい指令が出てたって、どっちがどっちか曖昧なのに、リスト・バンドだけで、そんなに簡単に射殺していいのか。普通、脚とか肩とか、行動不能な発砲をしないか? この傭兵隊長が最後に依頼主を裏切るのは、彼が黒人であることだけを理由付けにしているようだが、黒人女性が国務長官を勤める今では、それこそ、却って余計なことだったように思う。その前に、オリジナルのトムを、あっさり射殺してしまったことも含めて、逆に、白人の意識を逆なでしたような気がしないでもない。それに、いろんな映画のごちゃ混ぜって感じがした。「ガタカ」っぽいところもあれば、「マトリックス」のようなところもあり、「トータル・リコールか?」なところもある。あ、「青い珊瑚礁」もあるね。でも、あれだけおぞましく、あれだけ派手なアクションがあるのに印象に残らないのは、前半と後半のバランスが悪いせいでしょうか。
【由布】さん [映画館(字幕)] 6点(2005-09-09 23:30:23)(良:1票)
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