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本作を象徴しているのは、ダンスト=クローディアの「私達の絆は憎しみね」の科白である。先ず、原作者アン・ライスに「彼程この役に似合わない役者は天国にも地獄にもいない」と攻撃されてしまったクルーズ=レスタトの過熱気味に入り捲くった気合い(役者の自負があれば当然だろうが)、女優としてのステップ・アップへの野心満々のダンストの漲る気迫(当時12歳だ、これで)、そして、撮影開始当初からクルーズに張り合われた挙句に、徹頭徹尾慢性鬱病の役にうんざりしていたピット=ルイ(何しろルイが面白げに笑うシーンは、たった1シーンで、それもほんの少し笑うだけというのでは、うんざりもするだろうが)という有り様だが、彼らの精神状態は、図らずもキャラクターの持ち味を存分に活かし、皮肉な相乗効果となっている。観る側が、ルイよりもクローディアやレスタトに共鳴するのは、仕方がない。「自分に合わない世の中なんざ、ブチ壊してやりたい!!」とは、人の素直な欲求というものだが、大方は切れることなく、うんざりする世の中に対して、時に愚痴り、時に癇癪を起こしながらも、精々飄々と生きるのが常で、ルイには同族嫌悪を抱くしかない。とはいえ、なんだかんだと愚痴りながら飄々と生きてきたルイは世渡り上手というもので、レスタトやらアーマンドやらの古豪吸血鬼がルイを欲しがる理由も分かるというものだ。それにしても、「いい加減に止めてくれよ」と言いたいだろう賛辞「君は美しい」を連発され、相手役をブン殴りたい気分だっただろうブラッド(とはいえ、美しい形容をされて笑っちゃわない男優は、そうは転がっていない)は、シアター全焼シーンでは、それなりにストレスを発散させていたようだ。いずれにせよ、このルイ役で溜めたストレスが「セブン」や「12モンキーズ」のピットの熱演・怪演を生んだのだとすれば、満更無駄な役ではなかったのだろう。
【由布】さん 7点(2002-11-06 00:37:48)
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