| 作品情報
レビュー情報
「二十歳過ぎても天使だったら、ただのバカですよ」という科白が、川原泉のマンガの中に登場するが、それに照らせば、本作は、これまでブラッド・ピットが演じた役の中でも、最も難しい役。何しろ、いっぱしに成人した男優に、「ローマの休日」の「アン王女」を演らそうってんだから。ある分野では秀でた知識や教養を持っているけど、世間一般に出たら純粋培養の世間知らずという役は、言うほど簡単ではないし、「アン王女」にしたって、配役のいかんでは、ただのカマトト。まして、それが男優となったら、ただ気色悪いだけ。その難役を、スマートにスウィートにこなせたのは、演技力とか役者センスとかいう以前に、ピット自身が持つ気質とか人柄とかが成し得た役なんだろうと思う。「カリフォルニア」のアーリー・グレイスの根底にある純粋性に繋がるものだと思うが、本作は、「死神」の設定やエンド・クレジットで「オーバー・ザ・レインボー」のアレンジが流れるように、とにかく御伽噺、夢物語である。それを踏まえて見れば、最高の夢物語である。「命短し、恋せよ乙女」かな。オヤジしているホプキンスのいいけど、ジェフリー・タンバーのクインスが好きだ。ただ、本作が公開された当時では、多分、クインスの良さは分からなかったと思う。
【由布】さん 10点(2003-02-28 23:49:54)
その他情報
|
© 1997 JTNEWS |