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《ネタバレ》 いや~、なかなかの映像美でしたね~。テレンス・マリックの映画は、台詞より映像で語ろうとするタイプだけど、あの「天国の日々」に匹敵、いやそれ以上の美しさでした。宇宙、波、森、子供達の遊ぶ光景。ただ、これはテレンスさんの人柄によるものだと思うけど、あえて象徴的には描かないんですよね。それが人によっては中途半端に感じたり、わかりにくく感じたりするので賛否両論が出てきちゃう。とても壮大に見えるけど、実際にはとてもパーソナルな作品だと思う。要するに、ジャックはテレンス・マリック自身なんですよ。彼の個人的な体験がベースになっているんだろうし、壮大な外的宇宙を描くというより、彼自身の内的宇宙を見せているんだと思う。この作品は、なにかの答えを出すというものではないですね。最初の台詞で、「人の生き方は二通りある。神に仕えるか、世俗的に生きるかのどちらかだ」って言うのがあるけど、人間(あるいは西洋人)ていうのは、この狭間にいていつも揺れ動いてるんですよね。お母さんは信仰深くて母性そのものという感じで、お父さんは利己的で優しさより強さを求めるタイプ。特にお父さんは、アメリカンドリームを実現出来なかったから、それを息子達に実現してもらおうとより一層子供達に強さを求めてる。途中、恐竜が出てくるけど、お父さんの弱肉強食の起源があれで描かれてるわけですよね。ジャックは父親似だから、そういう面を引き継いで色々と悪さするし、それ故に大人になって成功してるけど、母親の面も受け継いでるだろうから、それで揺り動いちゃうんでしょう。だから、ジャックの葛藤というのは、そういう人間の両義性、利己的で弱肉強食の面と、利他的で博愛の狭間にいる事からの宿命的なものなんだと思います。それで思い悩むわけだけど、人が思い悩むことって、実は「狭い世界」からしか生み出されない。葛藤の起源をどんどん遡っていくと、どんどんと世界が広がっていく。そうすると、自分の悩みというのは、実はとても狭い考えから生れでたものであって、外に目を向ければ不思議と癒されていく。たぶんそんなことが言いたいんじゃないかしら。
【あろえりーな】さん [ブルーレイ(字幕)] 7点(2012-03-08 12:40:03)
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