| 作品情報
レビュー情報
この作品を大雑把に言ってしまえば、雑誌の女性記者が3組の家庭を訪問し、それぞれの家族が人の死に対して、それとどう向き合いそしてどう乗り切って言ったか、という話を取材するうちに自分の人生を見つめ直すというもの。 映画はその大部分を三話のオムニバスとして、それぞれの家庭のエピソードを描いてゆき、女性記者・紀子は主人公というよりもナビゲイター的な役割を担っている。個々のエピソードは、実際の地方の人気ラジオ番組「天国への手紙」を基に構成されているものだが、近年TVなどでよく見受けられる、実話をベースにした再現ドラマそのものである。それを単に映画化しましたというレベルで、それ以上でも無ければそれ以下でもない。私がこの作品を鑑賞して、胸に迫りくるものが無かったのはなぜだろうか。人の死、とりわけ愛おしい人との別れには、その想いを断ち切れないもの。人によってそれは一生続くかも知れないし、時が解決してくれるかも知れない。それを人(=他人)に話して気持ちに整理がつき、少しでも穏やかになるなら、それもいいだろう。悲しみや苦しみのあまり、「天国への手紙」というコーナーへ投稿した残された家族の気持ちもよく理解できる。しかし私などは、それぞれの胸の奥にそっと閉まっておく事の大切さをより重んじたい。家族の死に対峙するとは本来そういうものではないだろうか。だから、分かりきった事(人の死=悲しい)をいくら巧みに映像化されても、それだけでは何も伝わってはこない。エピソードが単にエピソードに留まっているだけで、心を揺り動かすほどのドラマに昇華していないからだ。むしろ自身悩みを抱いている紀子の姿をもっと克明に描くべきではなかったか。彼女が取材で得た事をどのように自分の人生に反映できたかが、もっと掘り下げて描かれていたら、ラストの出産シーンも生きてきた筈だ。
【ドラえもん】さん 6点(2004-10-22 00:43:36)
その他情報
|
© 1997 JTNEWS |