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キャロルが計算高く、したたかな女として描かれているのに反して、このドク・マッコイはウジウジした煮えきらない、優柔不断な中年男として描かれていることが、まず興味深い点だ。それは彼女とギャングのボスとの関係にいつまでもこだわっていて、痴話ケンカの種をつくったり、その事で彼女を殴ろうとしても、平手打ちでペチャペチャとするだけで、泣かれてしまうともう止めてしまうと言うように、女にはからっきし意気地がない。また一方では、子供に水鉄砲を向けられると、ムキになって怒るほど大人気ない。このダメ男ぶりという意味ではマックイーンというよりは、やはりS・ペキンパーの映画なのだと納得させられる。こういうシーンがある。刑務所から出てきたあと、唐突にツタにつかまって池に飛び込み、二人が水の中でラブ・シーンをやる。それがスローモーションなので、幻想シーンかと思っていると、そのあとびしょ濡れでアパートの部屋に戻ってくる。又、パトカーをショットガンで炎上させて車に乗り込もうとしたとき、彼女が急にバックしたためドクがひっくり返るというシーン。あるいは、駅で現金入りのバックを掏りかえられた後、取り返すまでにセリフを極力排し、二人の表情だけで描くというように、ペキンパーのこだわりの演出が光る。
【ドラえもん】さん 8点(2001-01-07 01:34:55)(良:3票)
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