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この作品、よくよく考えると実に他愛ないお話で、永年に渡る憾みとは言え、大のオトナが企てた、それも相手にとっては曖昧模糊とした理由で復讐の餌食にされてしまうという、不条理極まりない策略がベースとなっている。つまりはあの程度の理由でここまでヤルるかというお話であります。本来の意味合いからは違うかもしれないが、個人的解釈として“オールド・ボーイ=歳を食った少年”いわゆる大人になりきれない男の巧妙で手加減をしない行動力。その一方で見せる冗談とも本気とも捉えきれない、大のオトナなら考えもおぼつか無いような事を、執拗にそして平然とやってのける男。そのまるで戯れ事のような復讐劇から子供っぽい本性が透けて見える。映画はコミカルなシーンも少なくないが、中盤からはシリアスな人間ドラマへと変転していき、やがて徐々に謎が解けていくにつれて、自ら招いた事により破滅の道を突き進むしかない男の哀しさを浮き彫りにしていく。良く出来たしかしどこまでも救いようの無いお話で、個人的な憾みの深さは、もはや他人には推し量ることが出来ないということなのだろう。しかし意外性が少しも意外でない結末にはやはり残尿感を覚えてしまうのも事実。あくまでも寓話性の色濃い本作は、ストーリーを追って楽しむと言うよりも、画面からほとばしるバイオレンスをこそ享受すべきなのだろう。とりわけ、多勢を相手に狭い通路を横移動しながらの大立ち回りは、主人公オ・デスの積年の思いが炸裂した瞬間であり、その圧倒感はもはや常軌を逸した凄まじさであり、強烈なカタルシスを生み出した名場面であった。
【ドラえもん】さん 7点(2005-01-16 15:52:38)
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