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Dolls ドールズ(2002) のクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 Dolls ドールズ(2002)
製作国
上映時間113分
劇場公開日 2002-10-12
ジャンルドラマ,ラブストーリー
レビュー情報
《ネタバレ》 春、満開の桜並木の下。赤いヒモでつながって歩く男女。ベンチで弁当を作り待つ女。アイドルとして文字通り踊らされていた少女。”つながり乞食”を狂言回しとして、これらの話が絡み合っていきます。きっと北野武の念頭には、名作「砂の器」の道行きのシーンがあったでしょう。美しい日本の風景を撮りたいという監督の思いは、観客に伝わったと思います。サイドストーリーとして語られる、松原智恵子と深田恭子の話は、どちらも、満たされない思いで日常を過ごしている女性のストーリーです。やがてそれぞれの前に男が現れますが、前者は昔の男と再会しているにもかかわらず、その事実を知らされていませんし、後者は何のつながりもない男です。死期のせまったヤクザの親分は小さな幸せをかみしめます。追っかけの男は、”落ちた偶像”のために目をつぶしてしまいます。自分がしっかりと仕事をしていなかったから彼女が交通事故に遭ったと思い込んだのでしょう。彼らがどういう思いで彼女たちに会いに行き、その因果関係がどうかは別にして、会うことは贖罪の意味もあったと思います。どちらも最期は寂しいですね。それでも彼らの思いは通じたのでしょう。ベンチの松原智恵子と海岸の深田恭子の黒装束(喪服)が虚しく寂しいです。さて、”人形”のふたりは、季節を追うごとにますますその度合いを高めていきます。満月の夜。鉄橋の下。祭囃子。海岸。回想シーンからオーバーラップする帽子が断崖から海へ飛ぶシーン。線路上を歩く、辺り一面、緑。そして紅葉!木々の朱は前出の男たちの血ともダブり、凄惨ながらすごみのある美しさを醸し出します。やがて雪の中を歩くふたり。半天を羽織るふたりが窓から中をのぞくシーンで、パーティーの幻想が見えたあと、菅野美穂が男の肩をたたいたとき、指でも出して悪戯するのかと思ったら・・・。ペンダントを見せて、微笑みながら泣きそうになる菅野美穂にやられました! あの瞬間、ふたりは同じものを観ていたんだろうね。私だって、そんな彼女をどうしてもあげられない己のふがいなさを感じて、抱きしめたくなるでしょう。やがて、追い払われたふたりが浄瑠璃人形とダブって雪の中を走るシーン。斜面を転げ落ちるとき、菅野美穂は自分からわざと落ちたのではないでしょうか?その後映る人形は、彼らの道行きをすべて観ていたのでしょうか。
オオカミさん 8点(2004-04-05 03:08:17)
その他情報
作品のレビュー数 155件
作品の平均点 5.74点
作品の点数分布
031.94%
163.87%
253.23%
32012.90%
4159.68%
52113.55%
61811.61%
72415.48%
82113.55%
91610.32%
1063.87%
作品の標準偏差 2.46
このレビューの偏差値 53.75
※この作品のどの当たりの点数に位置するかを表した値
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