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「告白」で、松たか子は案外いいなあと思い、太宰や周辺の女性には殆ど興味なかったものの(ちなみにまあまあ小説好きの同世代の中では私はたぶん少数派)、見てみた。あーやっぱり根岸監督って古臭い、という思いが一番強かった。たとえば太宰の女性たちに焦点を当てるなら、そしてそこに今の時代を投影させたいなら、太宰の人物像にもやはり今の時代性の投影がほしいけど、この中の太宰は、人がボンヤリ思い描く太宰像を1ミリも超えていない。浅野は確かに太宰役に向きそうな役者ではあるけれど、そこに頼り切っているだけで、人間・太宰の深みがまるでない。せっかくいい役者なのに、もったいない。それにひきかえ、松もよかった(演技がね。だけどこういう女性像は同性として好きにはなれない。男に都合のいいだけの女だなあ、と思うわ)が、意外なことに広末が、破滅にしか向かえない女をちゃんと表現できていて、よかった。あの人はヒロインなんかではなく、もっとクセのある脇役に転じていったほうが飛躍しそうな気がする。ところで、太宰を少し思い出したついでに、太宰の娘である津島佑子を思い出し、帰りに書店で津島の作品の文庫が書棚にあれば読もうかなと探したら、全然置いてなかった。ネット書店で買ってみようとおもうほどの動機ではないのであえて探そうとは思わないけど、太宰だけでなくその娘もとっくに過去の人になりつつあるということなんですかね・・。
【おばちゃん】さん [映画館(邦画)] 6点(2010-09-14 13:00:06)
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