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DADAさんのレビューに感服いたしました。私の漠とした感想ももう少し言語化できるようになってきた思いがあります。たとえば、ガープが闘争心を必要とするレスリングに向かったのはなぜか、というあたりですが、フェミニズムに育てられた男の内面に生まれる自己の葛藤とのバランスをとるには、スポーツという「ルールのある世界」での「闘争」に身を置くことが、彼にとっての必然だったのではないかなあというふうに、私は感じていました。但しこの映画はすべからく全編にわたって、まったくといっていいほど説明的でないから、これは私の勝手な解釈であり、観た人によってかなり印象が違っていることでしょう。もし私の解釈に妥当性があったとしても、彼自身にそういう自覚があったかのような描写はまったくなかったですしね。確かに言えるのは、ガープは「母親の精神を受け継いで母親の僕でいることに些かの疑念を感じることもない」人物だったということですね。DADAさんのおっしゃることに同感です。かつて文学の世界では「父の娘」はテーマにされても、「母の息子」はあまり描かれることがなかったのではないでしょうか。そこがこの映画と原作の持っていた新しさ(発表された当時のね)だったのでは、と思います。さして詳しくないので間違っていたらごめんなさい、ですが。ところで、母を生き方のモデルにしている息子と、父を生き方のモデルにしている娘という組み合わせは、決して少なくないような気がします。ガープ夫妻がそもそもそうだったのでは、と。そういう仮説を立ててみると、妻の性的に奔放なキャラクターが俄然リアリティーを帯びてくる気がします。この映画の新しい見方に気づいた思いがして、急に再見したくなってしまいました。〈追記〉数年ぶりで4回目くらいの再見をしました。感動は今までで一番深かったかもしれません。女はひたすら自分の道を歩み、悩んでいるのは男のほう、という点が、日本の観客には公開当時よりも今のほうが理解しやすいかも、と思いました。但し、プーの描き方、ガープの主張を見ると、これは決してフェミニズム映画ではないと思うのですが、まだそのあたりについては誤解を生みやすい作品かなと。展開がアップテンポでまた映像も刺激的だから見ていて飽きてしまう映画じゃないと思うんですよね。初見で呆れた人も、再見したら新しい発見がいくらでも出てきそう。そんな作品です。
【おばちゃん】さん 9点(2003-03-21 01:01:10)(良:1票)
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