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父、帰る のクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 父、帰る
製作国
上映時間111分
劇場公開日 2004-09-11
ジャンルドラマ,ミステリー
レビュー情報
《ネタバレ》 父の不在と帰還には当然物語があるはずなのだが、その部分をごっそりそぎ落としている。この映画が描くのは「父」そのものであるから父が何故家を空けていたのかや何故帰ってきたのか、はたまた何故旅をするのかなどはどうでもいいことなのだが、いくらどうでもいいからといってここまで無視しちゃうってのは凄い。冒頭、海に飛び込めなかった弟が塔の上で泣いている。母は飛び込んだことにすればよい、誰にも言わないから、と息子に優しい言葉を投げかけ、抱擁する。母の愛である。父は優しい言葉などかけない。抱擁もしない。むしろ反目しあう。まるで本能のように相手を警戒し合う。終盤に登場する塔において母とは異なる無言の愛が示される。身代わりとなるしか示せない不器用な愛。父がいなかったとき、兄は弟を守らなかった。しかし父の帰還を経て、またその父がいなくなったとき、兄は家族の長として振舞う。画面は常に崇高。なるほど宗教的世界観が厳かな雰囲気を発散しているようでもあるがそれだけじゃない。こんな空、どうやったら撮れるんだろう。こんな美しい場所がこの世界にあるんだろうか。驚くのはまるで妖精でも出てきそうなそんな美しい情景に突如泥まみれの車が現れたりするから。この美しい世界に我々は生きているのだ。そのことを証明する映画。
R&Aさん [DVD(字幕)] 8点(2009-03-06 16:31:18)(良:2票)
その他情報
作品のレビュー数 64件
作品の平均点 6.75点
作品の点数分布
000.00%
111.56%
211.56%
334.69%
4710.94%
557.81%
6914.06%
71320.31%
8812.50%
91218.75%
1057.81%
作品の標準偏差 2.16
このレビューの偏差値 52.68
※この作品のどの当たりの点数に位置するかを表した値
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