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《ネタバレ》 よく子供がそのまま大きくなった人などと形容される人がいるが、ここで描かれるピーター・セラーズがまさにそんな人。道化を演じればみんなが笑ってくれる。いざとなったら道化を演じればいい。この安全弁でもあり最強の武器を手にしたセラーズは高嶺の花にも臆することなく大胆にアプローチしてゆくことができるのだ。その一方でこの安全弁と最強の武器があるから大人の分別も持ち得ない。おそろしく幼稚な大人が出来上がる。そういえば『ロリータ』の中のセラーズもとんでもなく子供な大人だった。この作品はセラーズを演じるジェフリー・ラッシュがセラーズのまわりの人間に突如変身して登場するという幻想的なシーンをところどころに配している。カメレオン俳優のカメレオンぶりを描く映画としてなかなかシャレの利いた構成だと思うし、あまりに辛辣な人物造詣を虚構の中のものとして見る事を多少なりとも助長しているように思う。だがピーター・セラーズという実名と彼が出演した数々の実在した映画のワンシーンがこの映画を虚構のものとして見る事を拒絶する。つまり純粋に映画を楽しめなかった。『博士の異常な愛情』のセラーズは苦悩していたのか!全く気付かなかったよ!とか『カジノ・ロワイヤル』のセラーズは憤慨していたのか!知らなくてごめんよ!とか、なんともいたたまれない気持ちになっちゃったよ。 『チャンス』での彼が称えられてるけど、あれだって子供のまま大人になったような役じゃん。なんか複雑~。
【R&A】さん [DVD(字幕)] 4点(2009-12-07 18:23:45)
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