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《ネタバレ》 太鼓の音とともに走り出す。これだけでこの映画が只者じゃないことがわかる。『害虫』でも思ったが「走る」シーン、そしてそこにかぶされる音楽が絶妙です。私は『害虫』のレビューで主人公の家庭を『どこまでもいこう』のプラモ少年と同じと書いた。この『カナリア』の主人公の家庭環境も『どこまでもいこう』の主人公の親友にそっくりである。父の不在、そして親に代わって小さな妹の面倒をみる兄。つまり『害虫』も『カナリア』も監督のデビュー作『どこまでもいこう』から派生した作品と捉えることが出来る。『どこまでもいこう』は子供の健全な成長が描かれていたと言っていいと思う。『害虫』は健全な成長をし損なった母に育てられた子供の、成長できない姿を描いていたのだと思う。そして『カナリア』は成長に必要な様々な経験を特殊なカタチで通過しイビツな成長を遂げようとする少年が、自らの、そして道連れの少女の、あるいは少年を想う大人たちの作り出す新たな経験によって、超越した成長を遂げる物語。ラストは所謂「解脱」の領域にまで達したということでしょう。スーパーサイヤ人みたいなもんです。この超越した成長をもって「成長3部作」(勝手に命名)は完結する。
【R&A】さん [DVD(邦画)] 7点(2007-04-13 14:20:49)
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