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スピルバーグの描く「身近な恐怖」の原点が『激突!』ならば、スピルバーグの描く「ヒューマニズム」の原点は劇場用デビュー作となる今作だろう。裁判所の決定により奪われた子供を取り返すべく法を破り奔走する男と女。子を想うがゆえの実際にあった事件にスピルバーグが心を動かされたことは、その後の彼の作品を見れば理解できる。主人公二人が法を犯す行為はもちろん誉められた行為ではないが、子供が待っているという残酷な嘘をつき、さらには二人を射殺しようとする法の番人と、どちらが人道上の罪にあたるかは一目瞭然。そうやって人間らしい主人公二人に感情移入させ、人間を見ずに罪だけを見る法の矛盾を露呈させてゆく。アメリカン・ニューシネマをなぞっただけのありきたりな作品とも言えるが、大量のパトライトの行列やラストのキラキラなど、印象的な画が映画を見たという満足感を与えてくれる。私が一番印象に残った画は、二人組のよその管轄の警官が出動するシーン。あんな美しい空の画はそうそう見れるもんじゃない。
【R&A】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2005-08-08 17:58:02)(良:1票)
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