| 作品情報
レビュー情報
子供の習い事について語り合ったことがある。「子供がやりたいならやらせればいいしやめたけりゃやめりゃいい」と言った私に対しある方が「子供はちょっとしたことですぐイヤになったりする。もし才能があるなら子供がイヤだと言ったからといってやめさせるのはどうか。才能を見つけてやるのも、その才能を伸ばしてやるのも親の務めだと思う」と返した。すかさず「仮に才能を開花させたからといって、その子が幸せだとは限らない。親は自慢できるだろうが」と言ってやった。さてこの映画でのジャクリーヌは必ずしも幸せな生涯を送ったようにはみえないが、本当のところはどうなのだろう。原作がもともと姉と弟の共著ということらしいが、そのことで音楽家としてのジャクリーヌの姿はあまり描かれず、本当はこんな人なのよという私生活の暴露という、ある意味肉親の著書らしい内容になっている。だからジャクリーヌが偉大な音楽家であることを熟知したうえで観ないと、なんだかジャクリーヌがかわいそうな気がしてしまう。もっと音楽家としてのジャクリーヌを描けなかったのだろうか。あまりに感情を爆発させたように体を激しく動かす演奏、しかもそのひとつひとつの音に反応する体の動きなんて、たしかにいくらエミリー・ワトソンが素晴らしい女優だからといっても限界があったのかもしれない。それをごまかさんとするカメラワークも鬱陶しい。姉一家の家のまわりに広がる広大な緑はなかなかに美しく、その中に傷だらけのジャクリーヌが震えるシーンの痛々しさがよりその痛烈さを増しておりよかったと思う。 さあ、今日は「ほんとうの」ジャクリーヌ・デュ・プレでも聴こうか。
【R&A】さん [DVD(字幕)] 5点(2007-10-29 17:05:00)
その他情報
|
© 1997 JTNEWS |