Menu
 > 作品
 > ニ行
 > 人情紙風船
 > R&Aさんのレビュー
人情紙風船 のクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 人情紙風船
製作国
上映時間86分
ジャンルドラマ,時代劇,モノクロ映画,戯曲(舞台劇)の映画化
レビュー情報
《ネタバレ》 黒澤明率いる黒澤組の合言葉が「山中に追いつけ追い越せ」。今の映画環境では誰も真似のできない(雲待ち3日とか)完全主義を貫いた山中貞雄の早すぎる遺作は、なんとも暗くて悲しい物語。しかし長屋の住民たちの日々の暮らしの描写は、幸福とはいったいなんなのかを提示してくれているようだ。隣人をからかい、ふざけ合う、そして怒ったり笑ったりしながら生きてゆく。何かにかこつけては皆で飲んで大いに笑う。お金の使い方もよく知っている。いつもよりもっと笑う。女はあきれる。そこに幸福がある。冒頭で首をくくった住民は元武士。そして主人公も元武士。要らぬプライドのせいでこの幸福に気づかず、やっと気づいたとき、そのことに気づくはずもない妻によって無理心中、、。やるせない悲しみを完璧な紙風船の動きがさらに増幅させて終わる。ただ、この暗さ、この悲しさの中に、たしかに幸福感が存在している。だから傑作なんだと思う。ただ完璧なだけではなく、ただ巧いだけでもない。映画の中にただならぬ人生の喜びと哀れみが存在する。
R&Aさん [映画館(字幕)] 8点(2005-12-26 18:01:58)(良:1票)
その他情報
作品のレビュー数 53件
作品の平均点 8.30点
作品の点数分布
000.00%
100.00%
211.89%
300.00%
400.00%
511.89%
6713.21%
7916.98%
8611.32%
91018.87%
101935.85%
作品の標準偏差 1.75
このレビューの偏差値 49.02
※この作品のどの当たりの点数に位置するかを表した値
人情紙風船のレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS