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《ネタバレ》 ベルイマンはもともとこの作品に「映画」というタイトルを考えていたが却下されたらしいのだが、言われてみれば一方が語り続け、もう一方が黙ってその語りを楽しむという構図は映画と観客そのものである。過去のベルイマン映画を模倣するように「奔放な夏」「情事」「堕胎」が思い出話として語られ、さらに「夫婦関係」「母性の欠如」が露呈され、ベトナム僧侶の焼身自殺のニュース映像やナチスSSと思われる男たちの前で手を上げる幼い少年の写真などはまさしく「沈黙する神」を象徴しており、極めつけは登場人物の名前が過去のベルイマン作品の登場人物の名前をつけられているという徹底ぶりをして映画が模倣されてゆく。意味なくカッコイイと思った実験性に富んだ冒頭部もフィルムのスタート部分が使われているし、少年の前に大画面と化した空間に人の顔がぼんやりと映し出されるシーンもやっぱり「映画」をモチーフにしている決定的シーンと言える。女優が観客となり現実と虚構が入れ替わる。これは経験をしていないのに経験をしたような気になる「映画」というものを映像で表現した映画である。たぶん。
【R&A】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2008-07-23 17:44:46)
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