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日常が非日常の世界に変わるその瞬間に向かって淡々と流れる時間。しかし日常の中にすでに事件が始まっていることを、数人の生徒が学内を歩き回る姿を延々と追いかけるカメラが映し出している。存在を誇張されるアメリカン・フットボールの選手たち。存在を認めてもらったように嬉しく写真に収まる人たち。存在を否定されるメガネの女の子。他人の存在を無慈悲に否定する三人のバカ女どもの自意識過剰ぶり。そして存在の確認を銃によって証明する者・・。コロンバイン高校銃乱射事件を題材に持ってきているため、当然ながら社会派の色合いが出ており、それゆえに各映画祭での好評を得ているのだろうし、その語り口も巧いとは思うものの、個人的にはこの社会派の部分は蛇足に感じていたりもする。それほどに『ジェリー』以後のガス・ヴァン・サントの映画は、思想だとかメッセージだとか実際に起こった事件の記憶だとかそのことに対する意見だとかを無視しても、単純にそこ(画面)に映っているものだけで映画が成り立っており、またそこに映っている全てのものの相乗効果でもって緊張感やら孤独感やらといった目に見えないものを表現する。「エリーゼのために」は印象的ではあったけど、これも要らないかもしれない。
【R&A】さん [DVD(字幕)] 7点(2008-02-19 13:15:17)(良:1票)
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