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ラルジャン のクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 ラルジャン
製作国仏,スイス
上映時間85分
劇場公開日 1986-11-29
ジャンルドラマ,犯罪もの,小説の映画化
レビュー情報
冒頭に映されるのはいかにも現代的な裕福な家庭。ごく普通の家庭の普通の会話が少しだけ映される。しかしその「普通」の中に、そしてその「少し」の中に、息子の甘え、親の無関心、責任のなすり合いといった醜悪なものを凝縮させている。この一見「普通」でありながら実は「醜悪」なものはこの後も延々と映され続ける。これが現代社会なのだ。ブレッソンは「醜悪」なものをけして大袈裟に映像化しない。「普通」の中にあるものを巧みに見せてゆく。『少女ムシェット』で少女が何かに怒っているように『ラルジャン』の青年もまた何かに怒っている。「何か」とは社会に他ならず。が「何か」はあまりに大きく、且つ漠然としているためにその怒りもまた矛先を持ち得ない。弱者は殺人者になるか死ぬか。強い者のために弱い者が虐げられ、強い者のために弱い者が作り出される社会。ブレッソン思想、ここに極まり。それでいてブレッソンが早くから確立させていたモンタージュの完璧さと「手」「足」「扉」に代表される印がこの作品を「ブレッソンの映画」たらしめている。「ブレッソンの映画」とは最高級ブランドである。
R&Aさん [CS・衛星(字幕)] 8点(2009-05-22 16:15:07)(良:1票)
その他情報
作品のレビュー数 25件
作品の平均点 7.32点
作品の点数分布
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作品の標準偏差 2.09
このレビューの偏差値 51.55
※この作品のどの当たりの点数に位置するかを表した値
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