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酷評が多い割には、まあまあ良くできた映画だった。ニューヨークの忘れ去られた歴史、封印された過去を語っていて、企画としては面白い。ただ、話に骨格が無くてハンパで、残虐で血なまぐさい闘争シーンが多いので、観ていて辟易してくる。主人公たちが正義のために闘うシーンではなく、延々とギャングたちが血を流す話なので、もういいやという気分になるのだ。ディカプリオ主演!ということで公開されたが、圧倒的に存在感が光ってるのは敵役ダニエル。デイ・ルイスである。彼の生き方は決して正しくはないが、一応の筋が通っている。アメリカは「闘って勝ち取ったもの」を尊ぶ。だからこそ、新たに入ってきて、豊かに実ったものだけをほしがる移民たちを憎む。だからこそ、時代に取り残され、政治家や富豪たちに利用されながらも、ギャングたちは闘うのである。もともとは自分たちも移民であるのにネイティブズと名乗って、移民や黒人たちを暴力をもって排除しようとする。その暴力の嵐の中で、意味もなく復讐心だけ抱えてハンパにさまよう主人公アムステルダムは単なるアホでしかない。この主人公は、開いた口がふさがらないほど芯が無い。ただ、南北戦争当時のアメリカは暗い。夜明けはまだ遠く、闇の底で大量の血が流れている時代なのだ。その中で、この主人公のようにハンパに生きながら、いつのまにかリーダーになっちゃった人間もいたのかもしれない。キャメロン・ディアスの美貌は、暗い世界を照らすように輝いていて、キャラクターとしても面白かった。
【ルクレツィアの娘】さん 5点(2004-04-04 16:59:46)(良:1票)
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