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少女は自転車にのって のクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 少女は自転車にのって
製作国サウジアラビア
上映時間97分
ジャンルドラマ
レビュー情報
《ネタバレ》 少女が自転車に乗りたがっているというほのぼのホームドラマの体をとっていながら、実は至る所に皮肉と反骨がちりばめられている。一番のポイントは、コーラン暗唱コンクールで優勝し、校長からも賞賛されるほどの「勉強」をしていながら、少女の内面は実は何も変化していないということ(禁止されたはずのスニーカーをはき続けているのがその象徴)。つまり、「形だけで物事を強制し、それで事足れりとすることなど、何の意味もない」というメッセージなのだ、これは。●その中で、いったんは視界から消え去り、その後母の手を介して戻ってくる自転車は、希望や意志の象徴として確実に機能している。何よりも、最初に塀の上を走っている(ように見える)ショットの、鮮烈なインパクト。これと対比されるのが、仮設的に設置されて用が終われば撤収される照明設備であり、まさにハリボテで形だけのものとしての象徴。その中で選挙運動が行われる(つまり社会の物事が決まっていく)というのが、これまた強力な皮肉。●ラスト、二人で自転車で去っていくのかと思ったら、途中からは少年はフレームアウトしてしまいます。いくら純朴に求婚をしたとしても、違う部族の彼と結ばれることはありません、という暗示。その先に待ち受けるのは、それまで見たこともないような激しい交通網。それでも前を向いて微笑む少女のアップ。これ以外にはないフィニッシュ。●制作の社会的背景がどうのこうのという前置きを抜きにして、創造の動機と表現の手法、そして芸術としての完成度という点において、すでに優れている映画です。
Oliasさん [映画館(字幕)] 8点(2015-04-10 23:59:35)
その他情報
作品のレビュー数 9件
作品の平均点 7.00点
作品の点数分布
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作品の標準偏差 1.33
このレビューの偏差値 55.62
※この作品のどの当たりの点数に位置するかを表した値
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