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《ネタバレ》 最初は普通のラブロマンスを想像して見ていたため、途中から主人公がやたら陰湿になったり、子供がなぜか鬼っ子になったりするのが理解できなかったのです。●しかし改めて見てみると、この作品は、全体の抑圧感なり閉塞感がまずありきであって、甥との関係も夫への報復も、その中の一要素でしかなかったのですね。夫からの虐待をかいくぐって甥との関係を完成させ(これ自体、「脱衣を覗かれたところがスタート」という屈折ぶり)、出産にまでこぎつける。それならばハッピーな方向に転じそうなものなのに、まったくそうはならない。むしろかえって二人して夫から圧迫される。その敵が下半身不随になったら、今度こそどうにでもできそうなのに、因習からの脱却はそう容易にはいかない。手に手を取って逃げる、というようなことも、言葉には出ても、実行可能性はまるでない。2人でたどり着いた地下室は、セルフ墓場とでも言いたくなるような息苦しさ。このどんよりぶりの徹底が、作品世界を一つにまとめ上げています。そして、言うまでもなく、画面を埋め尽くす染布の色や長さ、執拗に出てくる機械の数々が、それを裏付けて後押ししています。
【Olias】さん [映画館(字幕)] 8点(2007-10-05 02:52:43)
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