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《ネタバレ》 エリに尽くし続けた男は、エリを守るため、
自らの額に酸をかけた。あの男も、少年と同じように、 人付き合いの下手な弱気な男の子だったのかもしれない。 あの男の昔がもしかすると少年で、少年の行く末がもしかするとあの男で、それが何年も何十年も繰り返され、それさえもエリの中では計算されているのかも知れない。 などと、いくらでも深読みはできるし、観客に勝手気ままに想像させるために意図的な説明少なな内容にしているようにも捉えれる。 透き通るような白く透明なエリの立ち姿が血に染まった時の、 背筋が凍るような恐怖は、あまりにも新鮮で、 ある意味、どんなバイオレンスなシーンよりも衝撃的に見えた。 唯一、自分の本心に気付いてくれたのがたまたまエリなだけだった。 唯一、自分の身を真剣に心配してくれたのがたまたまバンパイアなだけだった。 唯一、エリの存在を知ったのが彼なだけだった。 小さな恋のメロディのように否応なく、惹かれてしまった無垢な心が引き寄せた愛情。 殺戮と捉えたのは人間。 猫がネズミを襲い、ネズミが虫を襲い、虫が植物を食らう、 その連鎖の人間の先にいたのがバンパイアなだけ。 思い込みの枷が外れた瞬間の人間は、きっとエリのために人を殺す。 悲しみに満ちた彼の未来を想うと心が痛い。 ただ、説明がほとんどないのは素敵だが、 最後があまりにも伏線なしで、唐突に思えた。 両親はどうした?二人だけで生きて行くの?プールでの殺戮はスルーできたの?様々なもやもやが残りながらのあのラストシーンの、モールス信号でのやりとりは素敵だけど、やりたいだけだでは全てを圧倒するほどの説得力満たしていなかったように想う。でも、クオリティーはすごく高い。日本こそ、こういったローバジェットで制作できそうな脚本勝負の作品にトライすべきだとすごく思った。 【ボビー】さん [DVD(吹替)] 8点(2011-10-04 23:41:34)
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