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《ネタバレ》 まずはこれほで細部への拘りと誠実さのある映像を大画面で体感し観る事が出来たのは良かった。例えばガラスに反射する人や車の行き交う様、風のうごめきで揺らぐ樹々など。日常生活で見慣れた景色がアニメーションの中で綿密に描かれていると何とも言えない心地良さを感じるのはぼくだけだろうか?あと、本題に行く前になぜおおかみこどもの「雨」と「雪」なんだろうという疑問。生まれた順ではなく親離れ、あるいはこどもではなくなった順?だとするとこれがテーマなのだろうと勝手な推測。はい、本題。序盤の少々荒削りな出会いと関係性の構築具合。秘密を抱えた謎の多い男性に惹かれる、ある意味オーソドックスな少女と、実写だったらさぞ不潔感満載であろうおおかみおとこ。彼が真実を告げたところから物語は真に始まるわけだが、それまでは典型的な恋愛物と同じように、つまり普遍的に愛を育む。打ち明け、子を産み、彼が予期せず死ぬ。こっからが真の葛藤が始まるわけです。本来なら、この2人がくっ付き、子を産むまでのプロセスの葛藤(おおかみにんげんと人間との対立構造とその葛藤)で一本映画が作れそうなもんですが、そこはすっ飛ばす。つまりやりたいことはここではない。本題は最後の最大の葛藤が表している。それは「決断と悟り」でござる。人にも狼にもなれる選択肢の中で、人の道を進むか、狼としての道を選ぶか。その決断と、それを不安ながらも背を押してあげれる強さを得るまでの話。ぼくらは決断し、押してもらう立場からいずれ押してあげる立場にならなければならない。それは如何なる決断だとしてもNOというのは簡単で、それを選んだその本人の意思を尊重出来る強さというのは並大抵の事ではない。そこに至までのプロセスはその最後の決断に向け、往々にして一直線にやじるしは敷かれている。雨は「責任」を知り大人になり、「自由」になる代償に家族と離別する。あの最後の遠吠えの真意はぼくらには聞こえない。でもきっと花には届いている。雪は苦悩があまりにも多い人間世界で生きることを決意する。今後もたくさん問題は起きるだろう。人間と恋をし、花に電話して頼るだろう。子どもも産むかもしれない。花の家の畑はこの先も荒らされる事はないだろうし、雨がいなくなった理由をご近所さん達に必至で誤摩化しを語るかもしれない。花にも雪にも雨にも、これからまだまだ苦悩はある。でも、生きてて欲しい。
【ボビー】さん [映画館(邦画)] 8点(2012-07-24 04:17:06)(良:1票)
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