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《ネタバレ》 僕の記憶の中に、アイリーンがまるでカビのように深く根をはった。カビと例えた理由(わけ)は、この映画はやはり精神的に結構辛くて、空しさが深く残ったからです。正直言ってこの映画の映像だとかセロンの演技とかが記憶に残り続けるのは、正直苦痛です。それだけ、この映画の中のS・セロン演じるアイリーンは、とてもインパクトのある存在だったと言えます。そのインパクトはS・セロンの演技に対してでもありますが、やはり本当にインパクトを受けたのは、アイリーンの人生そのものに対してだった気がします。そして彼女の存在自体もある意味とても衝撃的でした。この映画で見たかぎり、幼い頃のアイリーンはふつうの子供と同じようにキラキラと輝いた目で将来を見据え、夢を抱いていたのでしょう。しかしいつの頃からか、その夢は果てしなく遠く、空しいものへと変わっていった。そしてふと気付けば、アイリーンは生きる為に身体を売り、生き続ける為に人を殺していた。そして夢を無くしたアイリーンは愛を強く求め、愛を手離さない為に男を殺し続けた。結局最後には夢だけでなく、愛さえ消え、何もなくなってしまったアイリーンは、死刑と言う名のもとにこの世から葬り去られた。そんなアイリーに僕は強く同情してしまう。きっと連続殺人鬼のアイリーンに同情するのは社会的にも人道的にも間違っている事だと思う。だけど同情せずにはいられない。それに今はもうこの世にいないアイリーン自身も同情される事は望んでいないと思う。だけど、可哀相だ。辛過ぎる。汚れきったアメリカの社会が生んだ“モンスター”、アイリーン・ウォーノス。いま、僕の心にはアイリーンが強く残っている。
【ボビー】さん 9点(2004-11-22 21:33:31)(良:1票)
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