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《ネタバレ》 1980年代後半、『プラトーン』が社会現象といえる程の話題になってから、ベトナム戦争関連の映画が続々と作られた時期があって、大抵の作品は、監督が誰だとか、主演が誰だとかいった売り文句がある中、これと言って馴染みのある名前が全く出てこない無印の作品だったのが、この『ハンバーガー・ヒル』。
このベトナム戦争映画ブームとでも言えそうな時期の前にも、『地獄の黙示録』はさすがに特殊だとしても、80年代前半には『ランボー』だとか『地獄に七人』だとかいった娯楽映画の中ですでに、かつてベトナムに従軍した兵士の「一人称で語る」ような作品が出てはいたけれど、『プラトーン』を皮切りに、あの経験、あの時の想いを、胸を張って語っていいんだ、語るべきなんだ、という流れができたような。 でももしかしたら、「なんだ、ベトナム戦争の映画だったら、あまり大勢のエキストラ雇わなくっても戦争映画が作れちゃうんだ」という経済的な気づきが、あのブームを支えていたんだったりして。 で、この無印の『ハンバーガー・ヒル』ですが、あまり知られていない若手俳優ばかりで構成された群像劇、ということもあって、まとまった物語と言えるものは無いのですが、ケンカしたり、娼館で騒いだり、戦闘があったり・・・という日々があり、いわば「等身大の兵士」たちが描かれているあたりは、『プラトーン』以上に“オレたちのベトナム戦争”に目を向けた作品、とでも言えましょうか。 母国から見ればほとんど地球の正反対に位置するようなジャングルで泥にまみれた彼ら、時には友軍の誤射で仲間を失うという矛盾にも直面しつつ、その彼らを待ち受けるのは、大勢の兵士が命を落とし肉塊と化していった丘、いわゆる、ハンバーガー・ヒル。 終盤はいつ果てるともない戦闘と、次々に命を落としていく兵士たちが、容赦なく描かれていきます。作品のバランスとしてどうなのか、という意見もあるでしょうけれど、これだけ徹底してこそ、当時の諸作品の中でも異彩を放った作品になりえていると思います。 にしても、音楽がフィリップ・グラスって、、、勘弁してよ(笑)。 【鱗歌】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2025-03-23 13:43:50)《新規》
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