| 作品情報
レビュー情報
禁酒法時代はギャングの時代、実世界で抗争が繰り返されれば、映画の世界にもギャング映画の時代となってくる。タイムリーなネタが描かれている訳で、いつの時代も皆さん、敏感というか、まあ、お好きですなあ。
であると同時に、トーキーの長編映画が登場し、広まっていった時代。トーキー初期の作品、と言ってよいと思うのですが、この作品を見ていると、いかにもトーキーならでは、と言った感じで、意識的に「オフの音声」が取り入れらているようです。「画面外からの音声」だけではなく、例えば会話シーンで、語り手は向こうを向いていて口元が画面に映っておらず、聞き手の方の表情が画面に捉えられていたりして。音があってこそ可能となる、同時並行の表現。新技術が登場すれば早速、それを駆使した新しい世界の探索が始まり、またさまざまな形で繰り返されていく、っちゅうことでしょうか。 一方で、影を用いた間接的な描写など、画面上の多重性みたいなものもあって、サイレント時代の残り香のようなものも感じさせたり。 物語はと言うと、チンピラ風情の主人公がギャングの一味に加わり、暴走気味の行動で頭角を現していくけれど、その先には破滅が待ち受けている、という、ベタと言えばベタなお話で、それを80分で駆け抜ける。主演のエドワード・G・ロビンソンが、見るからにワルそう、と言っても狡猾タイプではなく、「ちょっと(かなり?)勘違いしてるヤツ」といった風情で、役にマッチしています。たぶん、こういうヤツが実際の世界でも少なからず、いたんだろうなあ、と。 【鱗歌】さん [インターネット(字幕)] 8点(2024-11-24 07:54:36)
その他情報
|
© 1997 JTNEWS |