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ごめんなさい、正直ピンとこないのです。番組を下ろされることになったキャスターが、精神に異常をきたし、常軌を逸した言動を繰り返して、逆に出演番組の視聴率がウナギ登りになっていく・・・、というオハナシなのですが。しかしこの番組、ちっとも面白そうじゃないんだけどなあ。この辺りからしてどうも誇大妄想的に感じられちゃう。もっとも、作品の主眼はこの番組を描くことではなく、その背後にうごめく人々の姿を描くことの方に置かれている訳ですが。いやどうせテレビの裏側なんてそんなもんだよね、と誰しもが訳知り顔に言いたくなる、でも結局はテレビに乗せられてしまう。そう言えばこの映画自体も、“惨劇を報道するニュースショー”で締めくくってみせるあたり、「この作品だって“ショー”なんだよ、見世物なんだよ、作りものなんだよ、“裏側を描いた”この作品を観たからといって真実を見抜いた気になっちゃいけないよ」と警告しているかのような。 ところでこの作品で「時の人」となるキャスターは、ファナティックなキャラで、そういう人がカリスマになるってことがピンとこない点でもあるのだけど、妙な人物がカリスマとなって社会に君臨しちゃう、ということ自体の恐怖というのは、むしろ今の方がずっと大きくなっている。それは多分、カリスマ本人よりも、その信者の発言力が、このネット時代において極めて強いものになってしまっているから。野沢尚の『砦なき者』なんて結構リアルに感じてしまう。この『ネットワーク』という作品は、仕掛け人たちが、自身が振り回されつつも事態を何とかコントロールしちゃうオハナシだったけど(ブラックなオチが待ってるんだけれど)、これからは、もう真にコントロール不可能な時代が待ち受けている。のかも知れない。
【鱗歌】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2012-05-17 00:32:19)
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