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「昔々あるところにお爺さんとお婆さんがいました」でいいのに、それは一体いつなんだどこなんだ誰なんだ、と無粋に詮索するような、そういった類の作品ではあります。爺さん婆さんの若き日の恋愛を描いておこうとか、鬼ヶ島の鬼との因縁を描いておこうとか、そうだいっそ、彼らにはかつて3人の息子がいたが鬼の魔力によって犬・サル・キジに姿を変えられたことにしちゃおうとか(たかがキビダンゴで命がけの鬼退治に行く訳がない、という原作の矛盾点はこれで解消され納得がいく、とか)。んなこと、どうでもいいんです、というか、むしろ余計なことばかり。いや、本作を『眠れる森の美女』のパロディとして観るのなら、それはそれでアリかも知れませんけどね。3人の妖精があまりに不甲斐ないので、マレフィセントが実はオーロラ姫の面倒を見てました、だなんて、いかにも落語のネタに向いてそうじゃないですか。ただ、パロディ路線として楽しむには、いささかハジケ方が足りません。アンジェリーナ・ジョリーの、いかにも「マレフィセントの複雑な心理を演じてます」的な重たい演技が、いい方向には働いてない感じも。あと、比べちゃいけないのかも知れないけどやっぱりアニメ映画『眠れる森の美女』と比べちゃいます。見事なアニメの動き、雰囲気、スピード感。やっぱりあのアニメは凄かった。例えばオーロラ姫が糸車の針に指を刺してしまうあの場面の不気味さ。オーロラ姫のイッちゃった表情はアニメに軍配を上げざるを得ないし、ここで流れる音楽「長靴をはいた猫と白い猫」、どうしてこうも完璧にこのシーンにマッチしちゃうのか。
【鱗歌】さん [ブルーレイ(吹替)] 6点(2015-01-27 22:48:15)
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