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《ネタバレ》 この作品が目を離せないのが、真相がどこにあるのかということそのものよりも、複数の真相の可能性をうまく維持させている点でしょうね。「あの人が犯人じゃないか」説に、「いやいやこの人が」説、さらには「主人公多重人格」説まで、いくつもの可能性を匂わせ続ける、そのうまさ。ラストはそれなりにミステリとしての解決を提示するけれど、種明かしなんていわばオマケみたいなもの、中盤のサスペンスのモヤモヤ感を一気に吹き飛ばすような手に汗握るアクション、この盛り上がりに勝る「解決」は無いでしょう。スピード感とは、スピードそののものにではなく、加速する過程にこそある訳で、実に盛り上がります。
また、本作で発生する事件の不可思議さ、そこにあまり合理的な説明を求めようとすると、「無理がある」「偶然に頼り過ぎ」といった感想も出るのでしょうが、逆に、この事件の持つ自己完結性のようなもの、これは言い方を変えれば「伏線の回収」でもあります。不可思議そのものの面白さ。事件が偶然なだけじゃなくって、例えばあの、本筋とは関係のない少女との出会いやお守りのヒモのエピソード、これなんかも一種の偶然が織りなす「伏線」であり、かつ「ちょっとエエ話」として印象に残る訳ですね。 【鱗歌】さん [ブルーレイ(字幕)] 8点(2015-08-30 08:59:56)
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