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《ネタバレ》 いわゆる「構想20年」ってヤツで。20年間ひと時も忘れることなく映画化を夢見ていようが、20年前のボツ企画を無理やり引っ張り出してこようが、どちらであっても宣伝文句としては「構想20年」となるのでしょうが、この作品は果たして・・・?
仮想現実ネタ、ってのは別に目新しくもないし、なんなら、そういうのはまとめて「世にも奇妙な物語」でやってくれたら充分、という気もして、実際のところこの作品でも、こういう設定は皆さんもうお馴染みですよねと言わんばかりにサラッと流してます。 誰だって『インセプション』を思い起こすでしょう、という幻想的なシーンがあり、はたまたウィリアム・フィクナーがこういう超現実的な支配者の役を演じているとだんだんエージェント・スミスみたいに見えてくるではないか、ってのもあるんですが、そんなこんながあったとて、その虚構の皮を一枚剥いでみれば、すべてが単なるハリボテに過ぎないという、身も蓋も無い世界。映画の撮影所的な世界観ですね。 そういう「映画のウソ」みたいなことを、あちこちのシーンで「これはウソです」と見せつけながら、90分少々にまとめてる。ウソはウソなんだけど、どこまで行けばそのウソのすべてが剥がれ落ちるのかがわからない、無限の階層構造のような。 特殊能力者がいて、その人が周囲に何か言えば、周囲は催眠術にかけられたようにその指示に従ってしまう。ベン・アフレックみたいなニブそうな人は別ですが(笑)、とにかくこの催眠術にかけられたが最後、まるでゾンビにでもなったような。 しかしこれ、今や我々の現実世界では、こういうのは特殊能力でも何でもなくなっていて、デタラメでも何でも言い切っちゃったもん勝ち、必ずそれを真に受けてしまう連中がいて暴走を繰り返す。こういうシンパの連中は、それ以外の人間から見れば、催眠術にでもかけられたような、洗脳されたような、いやそれこそゾンビにすら見えてくる、という断絶の時代。そういう時代の宿痾みたいなものが、この作品とシンクロし、戯画化されているようにも思えてきます。 ラスト、主人公はヘリに乗って立ち去っていくのですが、別にそこには希望がある訳でも何でもないというオチがラストで明かされてみると、このヘリでの立ち去りはもしかして、ロメロの『ゾンビ』を意識したものなのでしょうか? 【鱗歌】さん [インターネット(字幕)] 8点(2025-07-20 06:43:51)《新規》
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