| 作品情報
レビュー情報
《ネタバレ》 このテの作品は、いかにも過酷そうな場所で過酷そうなロケ撮影をやってくれていさえずれば、だいたいハズレが無いと個人的には思っているのですが、これもまた無責任な話で、見る側はそれでいいかもしれないけれど撮る側の身にもなってみろ、と。
でもやっぱり、いいですよね。厳しくも雄大な光景。そこに人間がポツンと置かれる、孤独感。 開拓時代、クマに襲われ重傷を負ったまま、荒野に置いて行かれた男。これ実話に基づいてます、といっても当時のことゆえ、どこまでが本当でどこからがホラ話か、わかったもんじゃないですが、とにかく、『レヴェナント: 蘇えりし者』でも描かれた、艱難辛苦の物語。『レヴェナント~』がどちらかというと、自然の内部から、そこに取り残された人間の視点でその脅威を描いたような雰囲気があったのに比べ、こちらの作品はもうちょっと、天の視点、というか。雪山の中なのに大きな船を曳いて旅する一行、この異様な光景にまずギョッとしつつも、それが人間のパワーを象徴するがゆえに、かえってこの大自然の中で人間の小ささを感じさせたりもします。 瀕死の主人公を救うのは、川の水。これも大自然の一部な訳ですが、一方で、主人公の行く手を阻むかのごとく広がるのもまた大自然。徐々に回復した主人公がついに人影を見つけるも、そこに繰り広げられるのは人間同士の殺し合い。人間の矮小さ。 この荒野のどこかには、自分を置いて旅を続けるかつての仲間もいるし、先住民たちもいる。やがて両者の間に生じる戦いが、ダイナミックに描かれますが、その背景に広がる大自然の中では、やはりここでも、人間の矮小さを感じさせたりもして。 ちょっと面白いと思ったのは、、、九死に一生を得る主人公はどちらかというと、より「自然に近い存在」となり、それはしばしば「先住民側の存在」として描かれがちなところ、しかしこの作品の主人公は、たしかに先住民に近づきつつもどこか一線を画し、人間同士の対立からそっと身を引いていきます。この余韻が、いいですね。 【鱗歌】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2025-07-05 10:25:46)
その他情報
|
© 1997 JTNEWS |