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肉弾(1968) のクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 肉弾(1968)
製作国
上映時間116分
劇場公開日 1968-10-22
ジャンルドラマ,コメディ,戦争もの,モノクロ映画,青春もの
レビュー情報
たぶん、軍国主義というもの自体が悪なのではなくって、人間の愚かさが、歴史のある場面では軍国主義と結びついて大きな悲劇を引き起こした、ということなんでしょう。人間の愚かさというものは消えることなく、今この瞬間にだって、大企業病なり、地方自治の腐敗なり、あらゆるところにあらゆる形で結びついて存在し続けている訳で。ただあの大戦では、それがどれだけ大きな喪失と悲劇をもたらしたことか。その大きさが、「平均寿命」という簡単な数字で示せてしまう皮肉。
軍国主義のせいと単純に割り切って、過去に封印してしまい、あえて忘れ去ってしまう、それもまた人間の愚かさ。何も変わっちゃいない。ドラム缶に閉じ込められたまま、人知れず波間を漂い続ける、やり場のない無念と怒り。
一方ではまた、人間の生のひたむきさというものがあり、ほんのちょっとした幸せというものがある。我慢した後の放尿のような、ちょっとした幸せ。
ちょっとシュールで(しかしそのシュールな世界は、人間の愚かさが実際に過去に生み出し、今後もいつ出現してもおかしくない世界でもある)、ひたむきな生を、寺田農がまさに身体の極限をつくして表現しきっており、圧倒されます。
鱗歌さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2016-09-18 08:23:41)(良:1票)
その他情報
作品のレビュー数 20件
作品の平均点 6.80点
作品の点数分布
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作品の標準偏差 1.83
このレビューの偏差値 56.55
※この作品のどの当たりの点数に位置するかを表した値
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