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百年恋歌 のクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 百年恋歌
製作国台湾,仏
上映時間131分
劇場公開日 2006-10-21
ジャンルドラマ,ラブストーリー,サイレント,オムニバス,青春もの,ロマンス
レビュー情報
《ネタバレ》 電球、ランプ、蛍光灯、手紙、メール、自転車、船、バイク、高速道路、手を繋ぐ、服を着せる、服を脱がす、音楽、そしてサイレント・・そして舒淇・・様々なものがこの映画の中ではとても感動的に作用しているが、最も感動的で、なお官能的でもあり、そして躍動と流動と静と動を兼ね揃えた、もう一度言うが、最も感動的な瞬間の連続、それがファーストショットだ。まだ灯りの点かぬ電球から、キャメラは静かに下がっていき、ビリヤードの球のささやかな揺れと回転を、李屏賓のキャメラは優しく優しくフォローし続ける。この球とキャメラのあまりにもしなやかな動きに、もはや涙を堪える必要などない。恐らくビリヤードの球が転がっていくだけの様を見て泣けるなどということは、そうそう在ることではない。だからこの瞬間の連続に涙を流せばいいのだ。何故ならそれだけ美しく、そして官能的だからだ。そしてこのショットの続きをわざわざ説明する必要もないだろう。どうしてあんなにも人物を動かしておきながら、最後にふたりが完璧な形で、完璧な位置でフレームの中に存在しているんだろうか。驚愕。
第一話、張震が舒淇を探している様をずっと描いている。この場合、本来的に重要なのは恐らく張震が舒淇を見つけたという瞬間だろう。つまり張震側にてこの再会を描くのだろうが、侯孝賢はその選択をしない。再会の瞬間を、勿論、ワンショット内にてすべてを描いているが、先ず映っているのが舒淇だ。どこだかのビリヤード場で働いている。そこに、奥のほうから張震が入ってくるのだ。これが決定的に素晴らしい。つまり侯孝賢はふたりの中に我々観客を入り込ませないのだ。あえて一歩引いた立場でこの再会シーンを描いている。重要なのは張震の舒淇を見つけたという感情なのではない、その瞬間の風景なのだ。このあえて一歩引いた立場があるからこそ、ラストの、あのあまりにも唐突に現れる手を繋いだヨリのショットが感動的に見えるのだろう。
すぺるまさん [映画館(字幕)] 9点(2008-09-28 02:19:41)
その他情報
作品のレビュー数 8件
作品の平均点 5.75点
作品の点数分布
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作品の標準偏差 2.11
このレビューの偏差値 57.32
※この作品のどの当たりの点数に位置するかを表した値
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