Menu
 > 作品
 > サ行
 > サブウェイ123 激突
 > すぺるまさんのレビュー
サブウェイ123 激突 のクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 サブウェイ123 激突
製作国米,英
上映時間106分
劇場公開日 2009-09-04
ジャンルサスペンス,犯罪もの,パニックもの,リメイク,小説の映画化
レビュー情報
《ネタバレ》 デンゼル・ワシントンが笑顔で我が家の門を押した瞬間にすべてが終わるが、またしてもストップモーションで幕を閉じてしまうという潔さだ。
結局ガーバーと彼の妻はこの映画で一度たりとも同じフレームに収まることはなかった。何故、最後、ふたりは抱擁しないのか。そんなことはこの映画においてどーでもいいことだからだ。ミルクを買って家に帰るという約束を果たせるか果たせないかということが重要で、ふたりの愛を確認し合う作業などトニー・スコット含め我々観客も全く興味がない。だからこそ、帰り道にミルクのパックが入っているであろう白いビニール袋を右手に持って歩くデンゼル・ワシントンというショットと彼のクロースアップのストップモーションが感動的なのだ。その後の抱擁し合うふたりなど幾らも感動的ではない。これこそがトニー・スコットなのだ。
また市長の描き方など絶品で、いかにも金の虫のような風体を晒しながらも、憎めない人の良さも醸し出し、犯人の割り出しも自らやってしまう、善でも悪でもない人物を平然と登場させる。罪悪感からか正義感からかで突っ走りだすガーバーや、金だけのライダーなどに比べ、あまりにも平凡な人物という描き方が素晴らしい。故に不倫というワードこそが現実的で必要不可欠なものとなり、そのためには市長を囲むマスコミすらもトニー・スコットには重要な登場人物たちなのだ。
現金輸送中のパトカーの事故、鼠のせいの誤射、PCによる映像、こんなものほとんど無駄な羅列にも見えるが、それらはただ「偶然」あるいは「運命」という得体の知れない厄介なものによって、ペラム123に連結され地下を疾走しているに過ぎない。だからこそその連結をいつ切り離そうが所詮それは「偶然」や「運命」であり、そうなったという事象のみがそこには存在することとなるのだ。
ガーバーとライダーの橋の上での対峙なども素晴らしい。いくらガーバーが警察官たちを呼べども全くもって近づいている感じがしない。その都合の良さこそ映画であり、その都合の良さが、ライダーのいつものカウントダウンでガーバーに極限の選択を迫らせるのだ。そしてこの時の単純なふたりのカットバックが見事な物語を構築している。
それでいての106分。スクリーンに映し出されるすべてを必要な情報として処理し、途轍もないスピードで走り抜ける、この潔さはトニー・スコットが唯一無二の存在になっていく証だ。 
すぺるまさん [映画館(字幕)] 8点(2009-09-05 02:41:00)(良:5票)
その他情報
作品のレビュー数 78件
作品の平均点 5.27点
作品の点数分布
011.28%
100.00%
211.28%
367.69%
41215.38%
52430.77%
61823.08%
71316.67%
833.85%
900.00%
1000.00%
作品の標準偏差 1.44
このレビューの偏差値 63.20
※この作品のどの当たりの点数に位置するかを表した値
サブウェイ123 激突のレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS