Menu
 > 作品
 > ワ行
 > ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド
 > すぺるまさんのレビュー
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド のクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド
製作国
上映時間159分
劇場公開日 2019-08-30
ジャンルドラマ,犯罪もの,バイオレンス
レビュー情報
《ネタバレ》 ただの映画ギークだったクエンティン・タランティーノが、いよいよアメリカ映画界の巨匠になろうとしている。

『イングロリアス・バスターズ』では、糞ったれた史実を、バット一本で完膚なきに塗り替えてしまう、という傑作を見せつけたが、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』に於いては、映画史に刻み込まれてしまった狂った殺人事件を、もう単純に家を間違えるというだけで、これもまた塗り替えてしまうのだ。平たく言えば嘘つきだ。所詮、映画は絵空事だ。
だがしかし、こんなにも優しい嘘はない。
まさかタランティーノの映画を観て、最後の最後で泣きそうになるなんて。
しかもその直前までは笑いまくってたのだから。
最後の最後まではずっと壮大なフリだ。もうぎりぎりまでフリ続ける。
ハリウッドをレオナルド・ディカプリオでフリ、マンソンファミリーをブラッド・ピットでフリ、
そしてマーゴット・ロビーが自分の映画を観るという件がまたサスペンスを高めるフリだ。
そして岐路は単純。そう家を間違えるというだけ。
そこからのブラッド・ピットの怪演とタランティーノ得意のゴアなバイオレンス描写がもう笑えてくる。
ここで、事実を捻じ曲げて、さあどうするタランティーノ、どう決着をつけるというふうになる。
しかし誰もが納得するだろう。
現代ハリウッドの象徴と言って過言でないレオナルド・ディカプリオとシャロン・テートを抱擁させる。
彼女をスクリーンの中で生き続けさせること。
そしてタイトル Once Upon A Time in ... Hollywood
それがしたかったのか。泣ける。優しいよ、タランティーノ。
これは史実に対する復讐である。
糞ったれた史実を犬に噛み千切らせ炎で焼き尽くし、血生臭いフィクションを張り付ける。
生と死を描いて辿り着く先は、優しい抱擁、これこそ正に映画である。
またしても傑作。

さて、帰路に着いてふと思い出したが、『イングロリアス・バスターズ』の最後、クリストフ・ヴァルツは、ブラッド・ピットによって額にナイフで鉤十字を刻み込まれるんだ。実はここから既に壮大なフリだったのか。まさかそんなわけがあるまいな。
すぺるまさん [映画館(字幕)] 9点(2019-09-07 00:28:01)
その他情報
作品のレビュー数 76件
作品の平均点 6.88点
作品の点数分布
000.00%
100.00%
211.32%
311.32%
411.32%
51215.79%
61317.11%
72431.58%
81317.11%
967.89%
1056.58%
作品の標準偏差 1.59
このレビューの偏差値 58.39
※この作品のどの当たりの点数に位置するかを表した値
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドのレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS