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ライアンの娘 のクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 ライアンの娘
製作国
上映時間195分
劇場公開日 1971-04-24
ジャンルドラマ,ラブストーリー
レビュー情報
公開当時に見たきりだったが雄大な海岸風景やアイルランドの景色がとても印象的だった。特に断崖から傘の落ちていくファーストシーンは絵画のように焼きついた。細部は薄れていたのでとても見たかった作品だがようやく再見。いやもう素晴らしいです。長いのに全くダレません。どのシーンやカットも美しくそれぞれ意味があり、リーン監督らしい細心の心配りがされてます。たとえばロージーと中尉の森での逢引、彼女の着ている赤い服は中尉が村に入って最初に見た洗濯物。寄り添う2本のクモの糸やぜんまいの芽。逢引に来る中尉の方に駆け寄るロージーは純潔を意味するユリの花をかき分けて行く、などなどきりがない。さらに助演賞のJ・ミルズはもちろん、R・ミッチャム、T・ハワード、サラ・マイルズなど俳優全部が素晴らしい。神父が最初にロージーに「夢を育てるといつか身を滅ぼすぞ」と言うが、彼女は夫に飽き足らなくなり若い中尉との恋に身を焦がし、村人から私刑の辱めを受け石を持って追われることになる。本当のことを言えず、何より愛している娘に罪を着せることになってしまった父親の辛い気持ち。偏狭な村人たちにからかわれ、馬鹿にされていたマイケルを彼女も軽蔑していたのに、自分がその立場になって初めて彼を理解して頬にキスするラストの別れのシーンは涙がこぼれる。どんな時でも彼らを暖かく見守る神父は偏狭な村人の中では救い主のような存在。冷たい好奇の視線を浴びながら村を去る二人だが、チャールズは負けまいと堂々と胸を張って腕を組んで歩く。ロージーを心から愛する彼はなお深くてやさしい。戦闘で傷ついた中尉を演ずるクリストファー・ジョーンズは時にハッとするくらいJ・ディーンに似ている。役柄も繊細な人物で痛々しい。独立の運動家たちと村人が総出で嵐の海で武器回収をするシーンなど、アイルランド風景が素晴らしく雄大な迫力でロケーションされている。「アラビアのロレンス」は砂漠、「ドクトル・ジバゴ」では雪原、ここでは海とリーン監督のロケーション作品は完全にスクリーンで見るべき映画として作られている。
キリコさん 10点(2004-02-22 18:01:14)(良:4票)
その他情報
作品のレビュー数 27件
作品の平均点 8.26点
作品の点数分布
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200.00%
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513.70%
627.41%
7414.81%
8622.22%
91037.04%
10414.81%
作品の標準偏差 1.29
このレビューの偏差値 60.40
※この作品のどの当たりの点数に位置するかを表した値
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