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フランスでは、こんな昔に俳優たちの養老院(今でいうと財団の老人ホームか)が設立されていたというところに、まず驚かされる。しかし、さすが文化の国フランスという感じもする。この映画は“老い”が主なテーマだけに、しかも【へちょちょ】さんや【キリコ】さんの仰るとうり人生の末路を真正面から受け取る作風なので、ペシミズムの色合いが強くみられ暗く重い。現実と非現実の区別が付かなくなり狂気の世界に入り込む者もいれば、哀れな末路を辿る者もいる。その一方、現実を現実のものとして受け入れる者もいれば、幸福に包まれた往生を予感させる老夫婦もいる。ラストのマルニーの弔辞、「私は嘘はつけない。彼は俳優としては取るに足らぬ男だった。しかし…」 きっとこの台詞、作り手である監督ジュリアン・デュヴィヴィエの、この作品に対する真摯な姿勢を観客に伝えたかったのでしょう。また、各登場人物が元俳優という設定もあり、立ち居振る舞いや会話のやり取りがこの作品をより一層味わい深いものにしている。人間ドラマの古典的名作であることには間違いありませんが、個人的には大人向けの寓話として受けとめたい。
【光りやまねこ】さん 9点(2004-09-06 17:01:10)(良:1票)
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