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12人の優しい日本人 のクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 12人の優しい日本人
製作国
上映時間116分
劇場公開日 1991-12-14
ジャンルサスペンス,コメディ,法廷もの,犯罪もの,戯曲(舞台劇)の映画化,パロディ
レビュー情報
《ネタバレ》 なかなか良く出来たオマージュ作品。「もっと話し合いましょうよ」という2号。「陪審員て難しいですね(笑)」とおどける8号。ランダムに集められた素人の慣れない話し合い。日本人が制度を真似て、かの映画をも真似た結果はこんなもんさという皮肉にも感じるグダグダな陪審員たち。
そこから、一人の話し合いたい人物2号の熱意によって、自然と議論が白熱していくのだが、正当防衛とか殺意の有無とか、法律家でもない一般人がケンカ腰に繰り広げる議論はデコボコで、みんなが二転三転と有罪無罪に転がる。再び決を取れば、有罪とも無罪とも聞こえるように「むー罪」とか言っっちゃうところ、笑った。
日本人は優柔不断で優しい。被告人に同情したり、逆に個人的な感情を発動して被害者(死亡)を侮辱したり、結局自分の意見で他人を裁く事への重圧から回避するために理由をつけているようにも取れる発言が続く。まったく論理的でない。
そこで、傷害致死罪(殺意無し)で有罪にしたら執行猶予も付くしちょうど良いんじゃないかという「妥協案」が出たりするのだが、何かが違う、と言って無罪を譲らないおじさん4号とおばさん10号に加担したチンピラ風の豊悦11号は弁護士だという。
この「弁護士」の登場からは一気に議論が論理的になっていった。殺意の立証としてのピザの大きさ、目撃者の証言は「ジンジャーエール」、トラック運転手のクラクション、きっと信号が赤だったんだ、被害者は自殺だったんじゃないかとまで可能性の領域が広がっていく。
決を取れば2号以外が無罪を主張し、また振出しに戻ったのだが、これはまったく同じ振出しじゃない。話し合いの結果の1対11だ。話し合ってみるもんだなあ、何があったかなんて誰にも分らない。信念とは自分の意見を貫く事ではないし、人の意見を聞かないという事でもない。
そして最後まで話し合いを求め有罪を主張し「十二人の怒れる男」におけるヘンリーフォンダの立ち位置であると思われていた2号は、実は女房に逃げられて最も私情をはさんでいたというオチが素晴らしく人間臭く日本人ぽくて良かった。
満場一致で無罪。一人ひとり陪審員票を返却して去るところも、オリジナルに負けないくらい清々しかった。弁護士とか歯医者とか、表の立場なんて関係のないところで繰り広げられるのが、純粋な議論だ。
ちゃかさん [インターネット(字幕)] 8点(2025-05-09 15:56:59)
その他情報
作品のレビュー数 295件
作品の平均点 7.38点
作品の点数分布
031.02%
120.68%
210.34%
372.37%
4134.41%
5103.39%
63511.86%
75719.32%
88729.49%
95618.98%
10248.14%
作品の標準偏差 1.87
このレビューの偏差値 51.78
※この作品のどの当たりの点数に位置するかを表した値
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