Menu
 > 作品
 > ハ行
 > 八甲田山
 > ちゃかさんのレビュー
八甲田山 のクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 八甲田山
製作国
上映時間170分
ジャンルドラマ,アドベンチャー,歴史もの,実話もの,小説の映画化
レビュー情報
《ネタバレ》 雪とは何か、寒さとは何か。その姿を確認するために無謀な雪中行軍に行かされる。そんな建前のような目的って何? そんなこと意識しなくても、抽象的ではない現実としての過酷な自然に放り出されれば、雪って何?寒さって?と否応なしに思わされる。
更に、理不尽な命令に従わなければならないという人的な過酷。建前とプライドで固められた謎の訓練によって、若い兵士たちが大勢犠牲になった。指揮系統の混乱、案内人も無下に断り、吹き荒れる暴風雪の中彷徨うしかない。「天は、我々を見放した」その言葉を機に、それまで何とか形を保っていた集団が一気に崩壊した。敵は寒さであり雪であり、士気の乱れ、諦めである。手ごわい外敵から身を守るためには、入念な準備、強い生命力、そしてそれを保つための仲間の存在があるだろう。高倉健の隊と北大路欣也の隊が生死を分けたのはまさにそれ。しかし冒頭ささやかな友情を結んだ二人がこんな形の再会となってしまい、無念を残した。皆そろってこの八甲田山に負けたのだ。
そしてそもそもが日露戦争に向けての訓練だったが、ラストのテロップでその顛末を知らされると、また戦争の虚しさを感じざるを得ない。

度々挟まれる美しい十和田湖畔の花畑や、活気あふれるねぶた祭りの映像。日本には四季がある。今は真っ白な雪と凄まじい暴風に囲まれる色のない景色だが、春になるとあんなにも穏やかで輝いている。そんなことを心の糧に任務を遂行するのだ。それは、この作品を撮影するスタッフ、役者にも通ずる過酷な任務だった。
ちゃかさん [映画館(邦画)] 9点(2025-05-19 13:41:07)(良:3票)
その他情報
作品のレビュー数 82件
作品の平均点 6.33点
作品の点数分布
022.44%
100.00%
222.44%
322.44%
4910.98%
51417.07%
689.76%
72125.61%
81214.63%
989.76%
1044.88%
作品の標準偏差 2.12
このレビューの偏差値 55.95
※この作品のどの当たりの点数に位置するかを表した値
八甲田山のレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS