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脚本の出来のよさもさることながら、目撃シーンのガレージ、列車内、ホテルの室内、廊下など意識的にタテに配置した人物構図はほぼパンフォーカスで、その他隅々までシャープに撮りあげた映像が特徴的なのですが、ましておもしろいのが、レモン、カーティス、モンローの撮り方。レモンとカーティスの会話シーンは、ほぼ2人が同時に画面にのせられ、カットバックはほとんどないのですが、これがモンローとの会話シーンになると、とたんにカットバックが多くなっています。レモンとカーティスを等分に見せる工夫、モンローの魅力を画面にのせる工夫といえましょうか。そのモンローは同じワイルダーのカラーで撮られた「七年目の浮気」ではセックスシンボルぶりが際立っていたのですが、今作は白黒になっていることで実にキュートにモンローのかわいらしさが出ておりますね。列車内、レモンの寝台室に大勢が集まってくるパーティーシーンは、マルクス兄弟の「オペラは踊る」の船室シーンですな。それからジョージ・ラフトが後半、コインを弾いているギャング仲間からコインを取りあげるシーンは、「暗黒街の顔役」を連想させられてニヤっとします。そして、世に評価の高いラストのオチなのですが、どうも私にはこの台詞だけは、苦しまぎれのような感じを受けて仕方がないので、1点マイナスさせていただきます。「完璧な映画なんてない」ってか。
【彦馬】さん 9点(2004-09-13 23:38:24)(良:1票)
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