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舞台はソ連某所のサウナ。屈強な体つきをした男たちが集団でいい汗を流していると、そんな男たちが背景にしか見えなくなるほどのいい男が入ってきます。知事です。モブどもの絡みつくような視線を射殺すような眼光で迎え撃ちつつ、知事は室内を闊歩します。全裸で。突如彼に近づくぽっちゃり気味の愛らしい東洋系の男。彼は人懐こい笑顔を見せたかと思うと、知事に焼きゴテを押し付けます。なんということを…。視聴者がその後の薔薇園的展開を推測してドキドキする猶予を一切与えず、やっぱり男はガラス窓ごと吹っ飛ばされます…。
もうこの冒頭のシーンの面白いこと面白いこと。割れた腹筋が5分で手に入りました。なにしろわけがわからない。なぜサウナなのか?なぜ全裸なのか?なぜモンゴル力士なのか?なぜ焼きゴテおしつけるのか?なんていい笑顔なのか。酒場でモヒカンぶっ飛ばすのと同じような意味を持つこのシーンは、しかしそれを構成する諸要素が少しずつ狂っていて、その結果とんでもなくシュールな光景となっている。なにより私の笑いのツボに直撃してしまった。こんなに心から笑ったことは久しくなかったように思います。本当にいい物を見せてもらいました。 その後知事はアメリカに渡って現地の軽薄そうな刑事とよろしくやるのですが、テンプレ的展開だったので言及しません。冒頭数分のシーンが持つ内容の濃さに比べたら、その後のお話は私にとっては搾りカスのようなものでした。でも普通の人が観ても面白くもなんともなくて、本筋に入ったらすぐ忘れてしまうオープニングだと思います。私がちょっと変なのがいけなかった。 繰り返しになりますが、本当に、本当にいいものを見せてもらいました。あの冒頭シーンがあれば、本編がコマンドーだろうと沈黙の要塞だろうと笑って許せます。素晴らしい映画との出会いを神様に感謝しつつ、ハッテン。 【あなたのはレビオSir.】さん [地上波(吹替)] 8点(2010-08-14 19:18:05)
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