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心(1973) のクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 心(1973)
製作国
上映時間90分
劇場公開日 1973-10-27
ジャンルドラマ,ラブストーリー,小説の映画化
レビュー情報
夏目漱石の「こころ」は純愛小説である。漱石にとって恋愛とは、完全なる自意識の劇であった。恋愛とは自我の可能性と不可能性を行きつ戻りつしながら、常に自己自身の不一致と世界への不信に苛まれる「私」という存在の自意識過剰なモノローグとして在る。ある意味で漱石の描く恋愛小説とは、個人小説でありながら、その個人の不確かさを描くことによって、常に個人が個人として在るという近代の前提を覆す反近代的な物語にもなり得るのである。小説「こころ」は恋愛小説であるが、それは同時にモノローグであるということを決定的に指し示した作品ともいえる。
それを映画化すると「心」になるのだが、この評価はなかなか難しい。何故なら、そこで描かれるべきものは、思いが常に言葉としてしか表現できないという関係性の限界から立ちのぼるモノローグであり、それは言葉を突き詰めることによって初めて表現される苦悩であるから。モノローグのない「こころ」は、自意識の劇にはなり得ない。では何か?? その不明瞭さこそが「心」という作品の核心なのかもしれない、というのはかなり穿った見方ではあるか。
onomichiさん 7点(2004-08-03 22:54:19)
その他情報
作品のレビュー数 2件
作品の平均点 5.00点
作品の点数分布
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作品の標準偏差 2.00
このレビューの偏差値 55.00
※この作品のどの当たりの点数に位置するかを表した値
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