Menu
 > 作品
 > イ行
 > 生きる
 > onomichiさんのレビュー
生きる のクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 生きる
製作国
上映時間143分
劇場公開日 1952-10-09
ジャンルドラマ,医学もの,モノクロ映画
レビュー情報
《ネタバレ》 『生きる』の原案はトルストイの『イワン・イリッチの死』。死病に伏した主人公の独白、孤独と絶望がテーマ。彼は死を前にして自分に「生きがい」がなかったことに煩悶する。『生きる』の主人公、志村喬演じる渡辺課長は癌発覚後、これまでの生を反芻しつつ最後の「生きがい」を見つけることで救われる。このオリジナルとの違いが黒澤ヒューマニズムの境地と言われる所以だろう。黒澤が『生きる』と題した物語のテーマはやはり「生きるとは何か?」なのだ。

とはいえ、実は『生きる』は渡辺課長が亡くなった後半からが面白い。通夜の席での「ナマコ」「ドブ板」「ハエ取り紙」といった曲者たちの喧喧諤諤には何度も感嘆した。さらに翌日の彼らの変わり身の早さを示すラストにも唸る。たとえ副次的であっても、あの通夜のシーンで、組織から個へ、組織に囚われる個の本質を見事に描いてしまったが故に、この映画のテーマが「個と何か」だというのも理解できる。それは「凡夫」であり「悪人」である人間の本質と言ってもいいだろう。
onomichiさん [インターネット(邦画)] 9点(2024-04-30 22:28:01)
その他情報
作品のレビュー数 245件
作品の平均点 8.03点
作品の点数分布
000.00%
100.00%
210.41%
331.22%
483.27%
5166.53%
6166.53%
74016.33%
84217.14%
95723.27%
106225.31%
作品の標準偏差 1.80
このレビューの偏差値 52.99
※この作品のどの当たりの点数に位置するかを表した値
生きるのレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS