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《ネタバレ》 音声コメンタリーを聞いてあらためて思ったが、ギリギリのシビアなバランスでできあがったストーリーラインが見事だった。
保育園の外に出るまでのところは気持ちの良い脱出劇だったけれど、そこからごみ収集車、ごみ集積場、ごみ処理施設へとどんどん状況が悪くなっていく展開に、4歳のうちの子は怖くて涙うるうる。 監督曰く、ごみ収集車の中でも一度ごみをぎゅうぎゅうに固められる中、捨てられたドールハウスの中に退避して危機一髪というエピソードがはじめあったらしいのだが、外して正解。しかしその分、ごみ処理施設では、ベルトコンベアで焼却場にどんどん流されていく、という定番の流れになるのだが、ウッディたちが助けてやったロッツォが改心し、今度はベルトコンベヤを停止させて、他の仲間を助ける側にまわると見せかけて、素通りさせてしまったのには唸った。単なるお子様映画ではないんだということを強く感じさせた瞬間だった。もう絶対助からないというような状況で、溶鉱炉の赤々とした日に照らされ、皆が手に手をとるシーンには深い感動があった。 それから最後の、ウディの謎のメッセージを見たアンディが、おもちゃを女の子に譲ることにするという展開がまた見事で、やりすぎにならないよう気をつけたと監督が語っていたけれど、ここも最高のバランスでできあがっていたように思う。おもちゃ箱に最後に残ったウッディをアンディがやっとの思いで譲る決心をし、最後に一緒に遊ぼうというところ。この表情の変化がじつによく描かれていた。リアルすぎる人間を描くのは、かなり危険な冒険だったはずで、だからこそピクサーはおもちゃやら車やらモンスターやら魚やらの話を中心に選んできていたはずなんだけれど、ここにきてその賭けに勝ったんだなと思った。 テーマに関していえば、〈おもちゃからの卒業=子どもの自分からの卒業〉という図式がまずあって、おもちゃへの感情移入が成り立つのかなとも思うので、子どもと一緒になっておもちゃで遊ぶ毎日の現在の自分からすると、この映画を実感を持ってみられるのは、アンディのお母さんと同じような立場になったときなのかなと思った。今この映画は、子離れってこんな感じかも、という予行演習的なものだったかもしれない。 【小原一馬】さん [DVD(吹替)] 8点(2012-02-15 23:45:13)(良:1票)
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