Menu
 > 作品
 > カ行
 > カサブランカ
 > 小原一馬さんのレビュー
カサブランカ のクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 カサブランカ
製作国
上映時間102分
劇場公開日 1946-06-16
ジャンルドラマ,サスペンス,ラブストーリー,戦争もの,モノクロ映画,ハードボイルド,戯曲(舞台劇)の映画化
レビュー情報
ずっと大好きな映画だった。今晩も久しぶりにこれを見てリラックスしようと楽しみにしていたのに、はじまって直後からいらいらさせられるばかりとなってしまった。
映画がはじまってまず気に障るのが、誰もがよってたかってヴィクターがいかに素晴らしい英雄かを説明するような台詞ばかりはくこと。彼が登場する前からそういうお膳立てがはっきりなされて、観客としては彼がどういう人物か判断する必要もない、という感じ。もちろんリックについても同様で、「隠れたところでいかに英雄的なことをしているか」を誰もが吹聴して回るから、彼は単にそれを「それほどでもー」とクールに聞き流していたらいい。はっきり言って、全ての脇役はこの三角関係の主人公たちの英雄性をもりたてるためだけに登場させられる。リックが通行証を手に入れる顛末も、何の現実味もないご都合主義的なものだし、イルザはイルザで過去に自分がしたことをすべて忘れたかのように能天気にサムに「あの曲を弾きなさい」と命令してる。その後でイルザが釈明するように「あなたに会おうというつもりなんてなかったの」と言うんだったら、もちろんそんなことをせず、リックに対する罪悪感からすぐに身を隠そうとしただろうし、あるいは夫のためとか言って何度も彼のところを訪れたりもしなかったろう。彼女の行動をきちんと理解しようとするなら、結局彼女は夫のため・自分のためにリックを利用しようとしつつ、しかも自分がリックを利用しようとしていることを、自分の恋愛感情でごまかし、自分自身さえ騙している。そういう気味の悪い女を、いかにも献身的な女であるかのように祭りあげることで、彼女に対するリックの自己犠牲を聖化する。そしてその自己犠牲の果てがあの浮ついたハッピーエンド。脇役たちはやはり所詮、彼ら主人公たちの妄想的な世界観を実現させるための道具立てにすぎないことを駄目押しで実証している。こうしてボギーやバーグマンに対する幻想が冷めてしまうと、別のあらまでどんどん見えてきて、登場するミュージシャンの誰一人として、音楽にあわせてまともに演奏する振りさえしていないことにもいらいらするし、お決まりのナチの描き方にもうんざりさせられる。植民地で搾取を続けてたって意味じゃあ、北アフリカではフランスのほうがよっぽど罪が大きいんじゃないって、余計なことまで訴えたくもなってくる。
小原一馬さん [地上波(字幕)] 2点(2007-03-04 01:04:48)(良:1票)
その他情報
作品のレビュー数 221件
作品の平均点 7.23点
作品の点数分布
000.00%
110.45%
252.26%
373.17%
483.62%
5135.88%
63214.48%
74922.17%
85022.62%
92611.76%
103013.57%
作品の標準偏差 1.95
このレビューの偏差値 36.26
※この作品のどの当たりの点数に位置するかを表した値
カサブランカのレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS