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自分のように齢も30を越えると、さすがに中学生のような「恋に恋する」恋愛物語に純粋な気持ちで向き合うことは難しい。この作品は「感動のシナリオ」をあからさまに提示し過ぎていて、「感動の押し売り」という印象で、見ていて冷めることがしばしば(毎日、学校に声を聞きに行ったり、高熱があるのに先生を迎えに行ったり)。恋愛の「キレイな部分」しか描かれておらず、人間ドラマに深みを持たせるはずの、お互いの心のすれ違いや葛藤という要素が完全に100%欠落している。そのため、どうしてそんなに惹かれるのかも分からず、あまりにも直情的・盲目的な彼女の行動に引いてしまう。第一印象だけで、その人間の何が分かると言うのだろう?本当の人間関係は、お互いの心の葛藤やトラブルを超えた先にあるものではないのか。純粋であることは、時に罪悪ですらある。純粋さゆえに、他人を傷つけている自覚が無いからだ。 また現在をモノクロ、過去をカラーという撮り方には、過去ばかりが美しいもので、まるで現在は終わったものとして否定しているような印象がある。年老いるまでお互い深く愛し合い、子供も立派に成長しているんだから、うらやましいほど素晴らしい人生じゃないか。悲しいのは分かるが、モノクロの世界でひたすら嘆いているだけの年老いた彼女を見ていると、違う意味で悲しくなってしまう。オレなら笑顔で送ってほしい。「人の死は決して物語の終わりじゃない」。それが証拠に、無償で棺を担ぎに来てくれたかつての生徒たちが大勢いるじゃないか。それは先生の心が生徒たちの心の中に、今も息づいている証拠じゃないか。
【FSS】さん 3点(2003-06-18 08:52:17)(良:4票)
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