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《ネタバレ》 「もののけ姫」まではまだ作品のテーマとしての方向性が明瞭だったが、「ナウシカ」や「ラピュタ」にあった心躍る娯楽性は影を潜めた。そしてこの作品からはテーマすら抽象化してしまい、何を伝えたいのか不明瞭になってしまった。
あのデジタル処理された映像や、神隠しをモチーフにした独特のストーリーは素晴らしいと思うが、脚本構成や人物描写が雑なので、せっかくの世界観が生かせていない。 監督は「10歳の女の子に見てほしい」と言うが、果たして、あの世界に本当の意味での10歳の女の子がいるだろうか。ごく普通の小学生でしかない千尋が、あの世界に行った途端、勇気と行動力、そして慈愛に満ちた少女に「進化」する様が、リアルな少女の成長と言えるだろうか。千尋の人物像が描かれないうちに神隠しに遭ってしまうので、余計に無理や不自然さが目立つ。 展開はご都合主義的で、各エピソードもぶつ切りで統一感が無い。そのくせ相変わらず自然破壊に対する説教だけは忘れない(腐れ神のエピソード)。 湯婆もイイやつなのか悪いやつなのか中途半端なキャラだし、本当に双子だったのかすらはっきりしない。ハクとの過去や力関係なども説明不足。ラストも何で豚のなかに両親がいないのを見分けたのかも不明。そして全体的にまとまりに欠けたまま、ご都合主義的に終了、という感じ。 民俗学的なアプローチは面白いものの、一般客に対して大事なテーマを伝えるには、あまりにも脚本構成が雑すぎる。 【FSS】さん [映画館(邦画)] 5点(2003-07-02 01:33:06)
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