ドキュメンタリー風戦争映画としては、「史上最大の作戦」以来の傑作だと思います。飛び交う銃弾、立ち込める煙、押し寄せる群集、細部まで完璧に再現された、巨大なオープンセット、圧倒的なスケールと臨場感で、映画ではこれまで扱われることの少なかった、すさまじい市街戦を、文字通り「体感」できるというだけでも、一度は観る価値があるでしょう。まさに戦場叙事詩とでもいうべき映画だと思います。しかもあの「プライベート・ライアン」でさえ拭い切れなかった、対ナチス戦特有のオプティミズムやヒロイズムなど、当然この作品には微塵もなく、「プラトーン」のように、キャラクターに対する感情移入も難しい。だからこそ最後に残るのは「この戦闘は一体何だったのか？」という疑問だけ。そういう意味で監督の意図は完璧に達成されていると思います。何も考えずにただその迫力ある映像を楽しむもよし。事件の背景や紛争、国際政治の舞台裏まで思いを馳せるもよし。どういう見方をするにせよ、この衝撃は他では味わえないものでしょう。日本映画こそ、こういう手法を取り入れるべきではないかと思います。反戦や、政治的なメッセージなどは一切なし。ひたすら戦場をリアルに再現。硫黄島、沖縄、ガダルカナル島、あるいは中国などなど、ネタには困らないでしょう。やはり戦争を「表現した」のが「ガンダム」だけというのはどうも・・・。

【わいえす】さん 10点（2002-10-21 21:26:53）（良：1票）

作品のレビュー数

405件

作品の平均点

6.65点

作品の点数分布

0	6	1.48％
1	9	2.22％
2	5	1.23％
3	21	5.19％
4	22	5.43％
5	48	11.85％
6	56	13.83％
7	73	18.02％
8	84	20.74％
9	45	11.11％
10	36	8.89％

作品の標準偏差

2.26

このレビューの偏差値

56.57
※この作品のどの当たりの点数に位置するかを表した値