| 作品情報
レビュー情報
《ネタバレ》 これは愛の映画シリーズである。…前作と同じく、監督の原作に対する溢れんばかりの愛情、映画に対する理解と自信が強く感じられる。それを端的に表わしているのが、燃えるエント族がダムの水で自分を消火するシーンだ。実はアイゼンガルドの反撃で火がついてしまうエントというのは、原作にも描かれているシーンで、こちらのエントはそのまま絶命してしまう。これが他のエント族を激怒させ、さらに激しい攻撃を招くことになるのだが、原作を読んでいる多くの人間が、このエントの死には少なからず心を痛める。それをピーター・ジャクソンは映画で救ってしまった! 快哉を叫ばずにはいられない。原作どおり、エントを焼死させるのはたやすいだろうが、あえて原作を越えて、観客が見たいと思うシーンを創造してみせたピーター・ジャクソンの、原作ならびに映画への理解、自信のほどがうかがえる。また、ゴラム(ゴクリ)の二重人格性や、フロドに騙されたことにより更正しかけた性格が再び根暗に戻ってしまう演出は、映画でより強調された点だ。このように、ただ盲目的に原作を映像化するに留まらず、積極的に筆を加え、それがことごとく成功しているというのは、もはやピーター・ジャクソンに霊感が降りているとしか思えない。ひとえに彼の愛のなせる技だろう。それゆえこの三部作は、大いなる愛の映画シリーズなのである。
【ウーフー】さん 10点(2003-10-14 12:25:48)
その他情報
|
© 1997 JTNEWS |